「ねこくじら」制作秘話

2009.05.21[木] 13:00

 

楽曲紹介「ねこくじら」

みなさんこんにちは!太鼓チームのタカハシです。


今週は、約2ヶ月ぶりの登場!
サウンドチームのマスブチさんによる「ミカシリーズ」楽曲紹介です。
相変わらずのアウターゾーンです。だがそれがいい。


今回は音楽が聴ける仕掛けもついていますので、ぜひ聴いてみてくださいね!
それでは、どうぞ!!
※音楽を聴くには、WindowsMediaPlayerが必要です。
※PCの環境によっては、音楽を聴けない場合があります。ご了承ください。





3.第2弾『ねこくじら』




【概要】
こんにちは。マスブチです。
第2弾『ねこくじら』についてでございます。
この曲は作るのに大変に苦労しまして(自業自得だったわけですが)、
その試行錯誤と苦悩具合をお伝えできればと存じます。
百聞は一見にしかずということで具体的な音を交えて解説したいと思います
(この場合「百見は一聞にしかず」ですね。でも百回聴ケ)。




【コンセプト】
今でこそSMF(注1)を使用して
曲とゲーム演奏譜面(以下、譜面)の同期を楽にできるようになりましたが、
当時は手動でやっていたため変拍子の曲はものすごく大変でした(注2)。


前回エリンギの譜面作成で懲りた私は考えたのです。
「四拍子だけど変拍子に聞こえるような曲にすればいいじゃないか。」
そもそも変拍子が前提になっているのがアレですが、
とにかく今回のコンセプトは決まりました。
しかも童謡っぽいテイストを加えて中和しちゃうぞ(何を?)。




【楽曲】
私は基本的にチェンジマン(注3)で転調しまくりますので、
曲の構成をつなぐのに毎回苦労するんですよ。
「A→B→C」という構成の素材ができているとして、
「じゃあ引き伸ばしてA→B→A→B→Cにしましょう」みたいなことになっても
転調しているせいで「B→A」が素直にくっつかない。
んで、結局接着剤として「D→E」みたいのが挟まって
「A→B→D→E→A→B→C」みたいな感じで肥大化していくんです。
(もっと編曲能力が高ければこんなことにはならないんでしょうが・・・)。


今回はその極みとも言えるべく状態で、解析してみたら
「INTRO→INTRO2→A→B→A→B'→C→D→E→F→G→F→G'→H→OUTRO」
みたいな感じになってた。
メドレー曲かよ。そんな感じで「前に突き進むだけ」という妙な構成の曲になりました。




【リズム】
3連符のひとつを最小単位として、それが何個で1拍と感じさせるかでテンポ感を操作します。


 ・3個ひと組・・・1小節で4/4に感じさせる(いわゆる標準状態)
 ・2個ひと組・・・1小節で6/8に感じさせる
 ・4個ひと組・・・1小節で3/4、もしくは2小節で4/4+2/4に感じさせる


・・・みたいな。





試しにメトロノーム入りの音を聴いてみましょう。













 ほら、終始四拍子が内在しているのが分かりますよね。なんと鬼畜。








【試行錯誤】
 それでは時間軸を追って製作過程を見てみましょう。


[1日目]
「おもろいイントロができた!サビも最高じゃあないか。さて帰宅しよ。」















[2日目]
「(1日目の状態を聴いて)何この唐突な進行。性急にもほどがあるわ。誰だこれを作った奴は。責任とれ。」


 ということで猛省することになりました。とはいえ素材としては悪くない。何とか建て直そうじゃありませんか。補強増築すること数時間。


「よし、これでどうだ。上手くくっついただろう。さて帰宅しよ。」













(0:43~1:17増築)


[3日目]
「(2日目の状態を聴いて)まだ性急だな・・・。もうちょっと繰り返しをいれて緩やかにしないと。あと、昨日作った部分へのつなぎが納まり悪いな。」


 ということで段差を埋める工事をしました。


「よし、スロープ化完了。これでつまづかないだろ。さて帰宅しよ。」













(0:43~0:46修繕、1:14~1:31増築)


[4日目]
「(3日目の状態を聴いて)曲がスゲー長くなりそう。削れるところは削ろう。あとここまできたらそろそろエンディング作っていいよね。」


 ということで工事。


「よし、帰宅しよ。」













(1:13ダイエット、1:54~2:11増築)


[5日目]
「(4日目の状態を聴いて)エンディングに段差があるな。ここも繰り返して滑らかにしよ。」

 工事。


「よし帰宅。」













(1:57~2:00増築)


[6日目]
「(5日目の状態を聴いて)一夜明けて聴いても違和感なし。完成で良くね?バンザーイ!」


ということで度重なる増改築の末にやっとできました。
そしてこの奇怪な建造物を見て作詞を依頼されたスミス氏はまた悩むのであった。




「何度聴いても曲が覚えられない・・・。」




【歌詞】
「なんかビジュアルが浮かんだ!夕日とデブ猫とくじら。これで行きます。」


というメールで歌詞到着。なんか・・・意味不明だけど情景的にイイ!!


この解釈を元に曲を聴くと前半はのたのた歩く感じだし、後半は浮遊感があります。
凄く曲にマッチしていると思いました(今でも生涯歌詞マッチング1位です)。
ザッパ先生(注4)の言葉を借りて言うと「曲に眉毛をつけてくれた」。ありがたいことです。




【まとめ】
マジ苦労しましたがその甲斐ありました。自分でも指折りのお気に入り曲です。
それにしても無茶苦茶な作り方ですね。コンピュータで作曲してるからこそ成せる業。ある意味テクノ音楽です。
10年早く生まれてたら作曲なんてやってなかったかもしれませんね。












(注1)
「Standard MIDI File」の略。コンピュータ用の楽譜データみたいなものです。
ゲーム譜面のテンポと拍子はこのデータを元に制御されてます。


(注2)
譜面再生システムが四拍子を前提にした仕組みなので、四拍子固定だったら小節を等間隔に並べるだけで済みますが、
途中で拍子が変わるとそうはいかなかったのです。


(注3)
自分の周りだけかもしれませんが、転調(キーチェンジ)を多用する人のことを「チェンジマン」と呼んでました。
(チャージマンではない)


(注4)
フランク・ザッパ御大。ディープパープルのスモーク・オン・ザ・ウォーターの歌詞に出てくるので
名前だけ知っているという方もいるのではないでしょうか。
一般的に「奇才/変態」と認知されていますが、音楽への取り組みは狂気といえるほど真剣。・・・おっと、語ると長くなるのでここまで。
(ザッパのCDは50枚以上持ってますが、ポップなものから普通の人が聴くに堪えないものまでかなり幅が広いので、
興味をもって入手される際は念入りな事前リサーチをオススメします。)

[カテゴリ:ミカシリーズ]