2000シリーズ:タベルナ2000(楽曲編)

2007.11.15[木] 12:00

 

第5回 限界への挑戦?『タベルナ2000』と現代音楽 2005.08


今となっては「前衛」ほど後ろ向きな日本語はないですが…
LindaAI-CUEです。
それはさておき、「前衛的な手法で堂々と商業製品が作れそうだから」
という動機でゲーム会社へ就職する道を選んだ自分にとっては
今回の仕事はまさに千載一遇の好機だったのです。
あるいは中途半端に熱い真夏の夜の夢だったのかもしれませんが…
ともあれ今回は問題の一作・その顛末です。



【バカ話がそのまま製品に】
「ミュージック・コンクレート(注1)をやりましょう」
「いいよ」
回答早すぎです。
ちゅーかちゃんと発言の意味を考えくれてますか?
しかしこの時こそ、
面白ければ"音楽的"手法に制約ナシという、いくらこの会社でも『太鼓の達人』以外では
ちょっと考えられないポリシーが現実のものとなった瞬間だったのです。
…案の定、ミュージックなんたらについては、
結局まったく考慮されなかっただけなのですが。


ともあれ音楽性についてはこれで決めちゃったことにして
後は企画のオダD(注2)やマスブチさんとネタ合わせ。
ヘンな男が食べすぎでブッ倒れる、なんともシュールなショートストーリーを曲にするという
前代未聞の内容が作られると決まったのです。
そのついでに(笑)「今回は"速い"曲にはしない」などなど、曲の構成も決めていったり。
いろんなことが本末転倒です。




【譜面からの挑戦】
まず通奏されることになる「食っちゃ寝、食っちゃ寝…」のリフレインを収録、
ついでプロットから読み取った音素材を準備し、
意味性を感じられるように時間軸に沿って貼りつけ、順番を調整。
可能な限り切り刻んで予想される譜面(すなわち太鼓の打音)とのズレを極力減らし、
そしてタベルナくん(注3)の挙動を追加していく…
文章にするとワケワカランですねぇ。
意味不明ならいざ知らず、楽音としては本来無意味・無価値なものに
強引にでも意味を持たせようというのが今回の製作。
『ケチャドン』以来久々にシーケンサーを使わず、とにかく音を貼り・音を切り刻む…
往時ならオープンリールのオーディオテープをスタジオいっぱいにブチ撒けての大仕事ですが
そこは21世紀、液晶モニタを前に黙々とひたすらに作業。
結果、なんと歴代2000シリーズ史上最短の製作時間でTDまで完了、
タカハシさんにバトンが渡されました。
ここからは譜面製作スタッフの腕の見せどころ。
さて!


この曲については、
なんといってもタカハシさんの譜面づくりが冴えてると思うんですよ。
なにせ音楽としては感情移入もナンもあったもんじゃない本作に
「歴代『太鼓の達人』オモシロ譜面の総集編」という切り口をポンと提示しちゃったわけですから。
そしてこの戦いの結果、
「2000シリーズの譜面にはいつもステキな仕掛けがあるぞ」の定評がつくことになり、
タカハシさんも自分もさらなるプレッシャーに苛まれることになるのです(苦笑)。




【野望の『大都市限定版』、そして合体!】
「アーケード製品として『大都市限定版』を作ったらファンが飛びついてくれますよ」
「コストパフォーマンスとか考えてないでしょ」
見透かされてました。
「とにかくやり込みたい」「アニメソング(系)をひたすら楽しみたい」人たち向けの
スペシャルエディションを作ったら面白いよ、と仕事場で常々発言してるLindaAI-CUEですが
当然、毎度上記のように却下され続けてます(笑)。
どんなにブッとんでても会社の製品ですから、
飛び越えられなかったり飛び越えちゃいけない壁があるわけですが、
なにかしらいいタイミングがあれば一度くらいそこを越えて、
野望の製品を世に送り出してみたいものです。


そういえば『よくでる』と『タベルナ』の間に
『とびっきり! アニメスペシャル』むけの仕事(注4)をしてるんですよね。
このときは楽曲製作のほか、ごく部分的な選曲にも関与させていただきました。
「大きなオトモダチのための選曲」を企画チームのリンくん(注5)と一緒になって吼える係だったのですが
その成果があの選曲だったわけで
…果たして目標とするユーザー諸氏に伝わったのかな?
伝わってるといいなぁ。
そしてこれ読んでくれた関連(しそうな)製品メーカーの担当者サン、お友達になりましょう。






(注1)「具体音楽」とも書きます。
  大雑把に言えば「音楽じゃないものを組み合わせて音楽を作る」試み。
  The Beatles『Revolution No.9』なんかがとっかかりとしては良いかと。
  ちなみにこのとき受けた最大のオーダーは「3拍子はダメ」。
(注2)後に『とびっきり! アニメスペシャル』の中核を担う名物ディレクター。
  アロマテラピーが得意技。
(注3)「先生と編集」「恋文少女(名前は未定)」「ハヤシダ・ヨー」など、
  本来の『太鼓の達人』と関係ないキャラの出てくる2000シリーズでも極めつけにオモシロな?キャラ。
  曲中、壮絶な最期を遂げたはずだが…?!
(注4)楽曲としては『合体!ドンレンジャーロボ』の製作(曲・詞ともに)。
  「Lindaくんだから当然、これぞロボットアニメな曲を熱く!」とのオーダーでした。
  なんと水木一郎氏に熱唱していただくことになるという、
  自分としてはとんでもない大イベントになりました。
   製品には作詞を担当した『和太鼓戦隊ドンレンジャー』(曲は三角さん)再録も。
(注5)台湾からやってきた、社内屈指のオタク職員。
  楽曲および製品の「声の出演」としてもいろいろお世話になってます。
  お互い、なまじ知識があるものだから
  「あの曲入れたいよねぇ」「でもそれ難しいよねぇ」と言ってはため息をつくことも多かったです。

[カテゴリ:2000シリーズ]